認知行動療法|認知的技法

 認知行動療法で用いられる認知再構成法について説明します。認知行動療法では、感情や気持ちの揺れが起こった瞬間に自動的に頭に浮かぶ考えのことを『自動思考』と呼びます。

 世の中で起こった出来事には、本来、両面(2面性)があり『それが良いことなのか』『悪い出来事なのか』を見極めるは困難です。しかし、人間の脳は『自動思考』によって現実に起こった出来事を判断しようとします。さらに『自動思考』によって判断された出来事は、その人の気分や行動に大きな影響を与えます。うつ病に掛かったり、気分が落ち込んでいる場合には、この『自動思考』がネガティブに働く傾向があります。ネガティブに考えると行動するエネルギーも少なくなり、更に辛い気持ちになる負のスパイラルに陥ってしまいます。

 認知再構成法では、その『自動思考』がどの程度現実的なものかをカウンセラーと一緒に検証すると共に、感情や物事の捉え方を選択できる力を養います。

認知再構成法の具体的なステップ

ステップ1:「自動思考の根拠を考えてみる」(根拠と反証を探す)

 感情や気持ちが揺れ動いたたときに、頭に浮かんだ自動思考を思いだし、何故そのように考えたのか、その根拠となる事実を探していきます。また、その根拠の反証となる理由を合わせて探ることで、現実的でバランスの良い考え方が無いかを探ります。

ステップ2:「反証となる考え方」を選択した時の心の変化を知る

 うつ病を抱えている時は、どうしてもネガティブな『自動思考』にとらわれがちです。カウンセラーと一緒に「反証となる考え方」を模索して、別の考え方や理由を選択した時の感情変化を確認します。自分では気づきにくい物事の捉え方、考え方を知ることで、気持ちや感情を選択する範囲を広げていきます。

私たちは、何か問題を抱えて落ち込むと、気分に振り回されて混乱し、解決の道を見つけることが難しくなります。こんな時に「私たちの気持ちや行動は、そのときに頭に浮かんだ『考え』によって影響される」という認知行動療法の基本(エッセンス)が理解できれば、そのときの自分を客観的にとらえることができ、考えを見直すことができるようになります。

〖関連コンテンツ〗