相談者のプロフィール
- 業種・規模: 建設業(従業員20名)
- 年齢: 20代後半
- 相談のきっかけ: 父(先代社長)が体調を崩し、急遽経営を引き継いだが「何をすればいいかわからない」「毎朝吐き気がする」
相談時の状況
大学卒業後に入社し、現場経験3年で突然の社長就任。ベテラン従業員からは「若いのに大丈夫か」という目を向けられることも多く、会議のたびに「自分の発言が正しいのかわからない」と強い不安を感じていました。
「父ならどうしていたか」を常に考え、自分の意見を言えない状態が続いていました。眠れない日が続き、「やっぱり自分には無理だったんだ」という自己否定の言葉が頭を離れなくなっていたとのことです。
支援の内容
1. 「父と比べない」ための視点の転換
初回セッションで印象的だったのは、「父はどんな社長でしたか?」という問いに対して「完璧な人でした」と即答されたことです。
CBTのアプローチで「完璧に見えた父の失敗や迷いはありましたか?」と問い返すと、「……あったかもしれない。でも見せなかった」という気づきが生まれました。
先代の「強さ」だけを見ていた認知の歪みに、少しずつ気づいていくプロセスでした。
2. 「20代の社長」という強みの再定義
「若い」「経験が浅い」をデメリットとして捉えていた相談者に対して、強みとして再定義するワークを実施。
- デジタルツールへの適応が速い
- 現場目線での判断ができる
- 従業員との年齢差が少なく話しやすい
最初は「それは強みじゃない」と言っていましたが、ベテラン従業員からの言葉を振り返るうちに「実は頼りにされていた部分があった」という発見がありました。
3. 「小さな決断」の積み重ね
「経営判断が怖い」という状態に対して、まず日常業務の小さな意思決定から始めてもらいました。
毎週1つ「自分で決めたこと」を記録し、その結果を次回セッションで振り返る習慣を作りました。3ヶ月後には「決断することへの恐怖が薄れてきた」との報告がありました。
結果
- 半年後には定例会議で自分の意見を明確に発言できるように
- 売上は前年比+5%を達成
- 「父の会社ではなく、自分の会社だと思えるようになってきた」
この事例から学べること
後継者特有の「先代との比較」「経験不足への不安」は、多くの若い経営者が抱える課題です。しかし、「自分らしいリーダーシップ」は時間をかけて作るものであり、最初から完璧である必要はありません。
不安を感じていること自体、それだけ真剣に向き合っている証拠でもあります。