相談者のプロフィール
- 業種・規模: 飲食業(2店舗、従業員10名)
- 年齢: 30代後半
- 相談のきっかけ: 「夜になると不安で眠れない。最悪のことばかり考えてしまう」という状態が3ヶ月以上続いた
相談時の状況
コロナ禍で売上が大幅に落ち込んで以来、業績は徐々に回復しつつありましたが、経営者本人の不安は消えませんでした。夜になると「このままいくと資金が底をつく」「従業員に給料を払えなくなる」「店を閉めるしかなくなる」という考えが頭の中で繰り返されました。
実際の資金繰りの状況は、すぐに危機的というわけではありませんでした。しかし、「もし〇〇になったら」という最悪の想定が止まらず、日中の判断力にも影響が出始めていました。
「心配するのが自分の仕事だと思っていた」という言葉が印象的でした。
支援の内容
1. 「心配」と「事実」を分ける
不安の内容を書き出し、「これは今起きていることか、それとも想像か」を整理するワークを実施しました。
ほとんどの「心配」は、まだ起きていない未来の想定でした。「今、実際に対処が必要な問題」と「まだ起きていない心配事」を分けることで、頭の中が少し整理されていきました。
2. 「最悪のシナリオ」に向き合う
あえて「最悪のシナリオ」を書き出し、「そうなったとき、自分にできることは何か」を一緒に考えました。
「廃業になったとしても、自分には飲食業の経験がある。就職もできる。家族を路頭に迷わせるわけではない」という現実的な視点が生まれ、「最悪の状況でも対応できる自分がいる」という感覚が安心につながりました。
3. 「心配する時間」を決める
一日の中で「心配を許可する時間」を15分だけ設ける習慣を試しました。それ以外の時間に不安が浮かんだら「今はその時間ではない」と自分に言い聞かせる練習です。
最初は難しかったものの、3週間続けることで夜の思考の暴走が少しずつ落ち着いていきました。
結果
- 1ヶ月後には「眠れる日が増えた」とのご報告
- 日中の判断力が戻り、新メニューの開発を再開
- 半年後に3店舗目の出店を決断
この事例から学べること
不安は「危険を察知するための正常な機能」ですが、度を超えると思考の暴走を引き起こします。「心配することで問題は解決しない」と頭でわかっていても止まらないのが不安の難しさです。
思考の癖に気づき、対処法を身につけることで、不安と上手に付き合えるようになります。