相談者のプロフィール
- 業種・規模: サービス業(従業員8名)
- 年齢: 40代前半
- 相談のきっかけ: 「自分がうつ病かどうかすら、よくわからない。でも、明らかにおかしい」
経営者のメンタル不調——実は珍しくない
厚生労働省の調査によると、うつ病・適応障害を経験する人は15人に1人の割合とされています。これは会社員に限った話ではありません。
経営者・自営業者においても、メンタル不調は深刻な問題です。特に以下のような状況が重なると、発症リスクが高まることが知られています。
- 業績の悪化・資金繰りの不安
- 信頼していた社員・役員の退職
- 家族や取引先との関係悪化
- 睡眠不足・慢性的な疲労の蓄積
- 「誰にも相談できない」という孤立感
責任感が強く、真面目な経営者ほど**「自分がしっかりしなければ」という気持ちが強く**、症状が進行してから相談に来られるケースが少なくありません。
相談時の状況
相談者は飲食店を2店舗経営。コロナ禍以降の客数減少が続く中、スタッフの離職率が高まり、自ら現場に立つ日々が続いていました。
「疲れているだけだと思っていた。でも半年たっても回復しない。朝、店を開ける気力がわかない」という状態で来談されました。
「まさか自分がうつ病になるとは思っていなかった」という言葉が印象的でした。
支援の内容
1. 「うつ病かどうか」よりも「今の状態を知る」ことから
初回面談では、診断名にこだわらず、現在の状態を整理することから始めました。
- 睡眠の状態(入眠・中途覚醒・早朝覚醒)
- 食欲・体重の変化
- 気力・集中力の低下の程度
- いつ頃から、何がきっかけだったか
「話しながら、自分の状態が整理されていく感じがした」とおっしゃっていました。
2. 経営の負荷を数値で見える化する
メンタル不調と経営の問題は切り離せません。
2店舗の売上・人件費・固定費を整理し、「どちらの店舗が負担になっているか」を客観的に把握しました。
結果として、1店舗の業態転換(テイクアウト専門化による人件費削減)という選択肢が浮かび上がり、「縮める」ことへの心理的な抵抗を和らげるためのカウンセリングを並行して進めました。
3. 「まさか自分が」という思い込みを緩和する
うつ病は特別な人がなる病気ではありません。セッションの中で、以下の問いかけを繰り返しました。
「もし社員が同じ状態だったら、あなたはその人に何と言いますか?」
「少し休んでほしいと言います」という答えが返ってきました。
「では、あなた自身に同じことを言ってあげることはできますか?」
この問いが、長い沈黙の後、涙につながりました。
結果
- 心療内科への受診を決意し、薬物療法と並行してカウンセリングを継続
- 1店舗のテイクアウト専門化により、月次の負担が軽減
- 4ヶ月後、「朝、仕事に行くのが怖くなくなった」とのご報告
- 「相談するまでに時間がかかりすぎた。もっと早く来ればよかった」という言葉が印象的でした
うつ病・メンタル不調のサインに気づいたら
以下のような状態が2週間以上続く場合は、専門家への相談をお勧めします。
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がない、または食べすぎる
- 何をしても楽しくない、興味がわかない
- 疲れているのに休めない
- 「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶ
「まだ大丈夫」と思っているうちに、ぜひ一度ご相談ください。話すだけで、気持ちが楽になることがあります。