相談者のプロフィール
- 業種・規模: IT・サービス業(創業3年目、従業員5名)
- 年齢: 30代後半
- 相談のきっかけ: 「何をしても楽しくない。やる気が出ない」という状態が続き、投資家との面談にも支障が出始めた
相談時の状況
シリーズAの資金調達に向けて動いていた時期に、共同創業者との関係が悪化。一人で意思決定を抱えるようになってから、徐々に意欲が失われていきました。
「起業家なのにこんなに弱くていいのか」「自分だけがうまくいっていない気がする」という感覚が強く、SNSで他の経営者の成功事例を見るたびに落ち込む、という悪循環に陥っていました。
精神科への受診も考えたが「診断がついてしまうのが怖い」と相談を先延ばしにしていたとのことです。
支援の内容
1. 「選択的注目」のパターンに気づく
相談者には「うまくいっていること」は無視し、「うまくいっていないこと」だけに注目する思考の癖(選択的注目)がありました。
セッションの中で、過去3ヶ月の「できたこと」を書き出してもらうワークを実施。最初は「何もない」と言っていたものの、書き出すうちに10件以上の成果が出てきました。
「こんなにやれてたんですね、気づかなかった」
という言葉が印象的でした。
2. SNSとの距離の取り方
「他者との比較」が抑うつを悪化させている要因のひとつであったため、SNSの閲覧時間をモニタリングするセルフモニタリングを開始。
「1日30分以上見ている日は気分が落ちる」という相関を自分で発見し、自然と閲覧時間を減らすことができました。
3. 経営の「やめること」を決める
創業者特有の「全部自分でやらなければ」という感覚に対して、事業の優先順位を整理しました。
- コア事業に集中するために、サイドプロジェクト2件を休止
- 採用活動の一部を外部エージェントに委託
- 投資家対応を週1回の定例にまとめる
「やることを減らしたのに、結果的に前進している感覚がある」との感想をいただきました。
結果
- 3ヶ月後に資金調達クローズ
- 「やる気が戻ってきた」「朝起きるのが楽しみになった」と報告
- セルフモニタリングの習慣は現在も継続中
この事例から学べること
起業家・創業者は「成功しなければならない」というプレッシャーを自分に課しがちです。しかし、そのプレッシャー自体が判断力を鈍らせ、行動を止めてしまうことがあります。
自分の思考の癖を知ることが、経営判断の精度を上げる最初のステップです。