相談者のプロフィール
- 業種・規模: 製造業(従業員15名)
- 年齢: 40代後半
- 相談のきっかけ: 「朝が起きられない。会社に行くのが辛い」という状態が3ヶ月続いたため
相談時の状況
売上が前年比30%減となり、主要な職人が2名退職。採用もうまくいかず、自分が現場と経営を一人で抱える状況が続いていました。
「社長なんだから弱音は言えない」と家族にも相談できず、毎晩2〜3時間しか眠れない日々が続いていました。かかりつけ医から「適応障害の疑いあり」と言われたものの、「休職なんてできない」という思いが強く、医師に相談することをためらっていたとのことです。
支援の内容
1. まず「経営の整理」から入る
初回面談では、心理面よりも先に経営状況の整理を行いました。
- 売上・資金繰りの現状を数字で把握
- 直近3ヶ月でやめられる業務の洗い出し
- 外注・業務委託できる工程の特定
「自分がやらなければならないこと」と「他者に任せられること」を切り分けることで、目に見えない重荷が少し軽くなったとおっしゃっていました。
2. 「べき思考」の緩和
相談者には強い「社長たるもの〇〇すべき」という思考パターンがありました。
CBTのアプローチを用いて、以下の問いかけを繰り返しました。
「休んだら、本当に会社はつぶれますか?」 「15人の社員を支えるために、あなた自身が壊れてもいいのですか?」
最初は「はい、つぶれます」という答えが返ってきましたが、セッションを重ねるうちに「実は、任せられることがあるかもしれない」という気づきが生まれていきました。
3. 睡眠の改善から回復の糸口へ
マインドフルネスの呼吸法と、夜の「心配事リスト」をノートに書き出す習慣を取り入れてもらいました。「書き出すことで、頭の中からいったん出せる」という感覚が睡眠改善につながり、3週間後には5〜6時間眠れるようになりました。
結果
- 経営の役割分担を見直し、現場主任に権限を委譲
- 月1回の経営振り返りセッションを継続
- 4ヶ月後には「朝、会社に行くのが楽しみになってきた」とのご報告
この事例から学べること
「社長だから休めない」という思い込みは、多くの経営者に共通するべき思考のひとつです。しかし、経営者自身が消耗しきってしまえば、会社全体が止まるリスクは高まります。
まず自分の状態を正確に把握すること——それが回復の第一歩です。