相談者のプロフィール
- 業種・規模: 卸売業(従業員32名、役員3名)
- 年齢: 50代前半
- 相談のきっかけ: 「食欲がなく、毎朝涙が出る。このまま続けられるか不安」という状態が続いたため
相談時の状況
取引先との価格交渉が長期化し、主力商品の利益率が大幅に低下。同時期に古参の営業部長との関係が悪化し、社内の空気が重くなっていました。
「自分が弱いから、こんなことになっている」という思いが強く、症状が出始めてから半年間、誰にも打ち明けられないまま経営を続けていました。
受診した内科で「うつ状態の疑いがある」と告げられ、精神科への受診を勧められたことをきっかけに、当事務所にご相談いただきました。
支援の内容
1. 「休む」という選択肢を一緒に考える
初回面談で、相談者が最も恐れていたのは「社長が休む=会社が終わる」という思い込みでした。
経営状況を整理したところ、役員3名がそれぞれ担当領域を持っており、一定期間であれば業務の引き継ぎが可能であることが見えてきました。
「休職は逃げではなく、会社を守るための選択肢のひとつです。 社長が倒れてからでは、選択肢はさらに狭まります。」
この言葉が、相談者の気持ちを少し動かすきっかけになったとのことです。
2. 取締役会への説明を一緒に準備する
「役員に打ち明けること」への恐れが最大のハードルでした。
セッションの中で、取締役会でどのように説明するかを具体的に準備しました。
- 現在の症状と医師の見解を簡潔に伝える文章の整理
- 休職中の業務分担と権限委譲の範囲の明確化
- 復帰の目安と連絡体制の設定
「何を、どこまで話すか」を事前に決めておくことで、相談者の不安が大きく軽減されました。
3. 休職中のカウンセリングで回復を支える
取締役会での説明後、3ヶ月間の休職を取得。休職中も月2回のオンラインカウンセリングを継続しました。
休職中のテーマは主に以下の3点でした。
- 「社長でなければ自分は何者か」というアイデンティティの整理
- 復職後の働き方・関わり方の再設計
- 「あのとき、もっとうまくやれたはずだ」という自責感の緩和
結果
- 3ヶ月の休職を経て、段階的に業務に復帰
- 復帰後は週4日勤務からスタートし、2ヶ月後にフルタイムへ
- 営業部長との関係については、役割を明確に分けることで摩擦が軽減
- 「休んで初めて、自分がいかに無理をしていたかに気づいた」とのご報告
この事例から学べること
「社長が休む」ことは、決して珍しいことではありません。また、正しい準備と体制があれば、経営を止めることなく療養に入ることは可能です。
ひとりで抱え込まず、まず現状を話していただくことが、最初の一歩になります。
休職という選択肢を含め、あなたの状況に合った方法を一緒に考えます。