相談者のプロフィール
- 業種・規模: 建設業(従業員18名)
- 年齢: 30代後半
- 相談のきっかけ: 「朝、体が動かない。自分には社長の器がないと感じている」
相談時の状況
父が創業した建設会社を35歳で引き継いで3年が経過していました。社員の多くは父の時代からの古参で、相談者より年上の職人が半数以上を占めています。
「俺たちは先代のやり方でやってきた」という空気が強く、相談者が新しい取り組みを提案するたびに反発を受けてきました。
「父は何でもできた。自分は何をやっても中途半端。二代目社長の自分に、この会社を任せてもらえる資格があるのだろうか」
そう感じ続けた結果、判断を先送りにする癖がつき、経営の停滞が起きていました。不眠・食欲不振・気力の低下が続き、受診した心療内科で「うつ病」と診断されていました。
支援の内容
1. 「父と比べる」思考パターンを整理する
相談者の悩みの核心は、常に「父ならどうしていたか」を基準に自分を評価してしまうことでした。
セッションでは、この「比較の基準」そのものを問い直しました。
「お父様は30年かけて今の信頼を築きました。あなたはまだ3年です。同じ基準で測るのは、公平でしょうか?」
この問いかけが、相談者にとって大きな気づきになりました。「そう言われると、確かに比べること自体がおかしいかもしれない」という言葉が出てきたのは、3回目のセッションのことでした。
2. 古参社員との関係を経営視点で整理する
「言うことを聞いてもらえない」という状況を、感情の問題ではなく組織と役割の問題として整理しました。
- 古参社員が抵抗する理由(変化への不安・先代への忠誠心)の言語化
- 指示の出し方・関わり方の見直し
- 相談者が主導できる領域(新規顧客開拓・IT化)に注力し、古参が得意な現場は任せる分担の設計
「全員を動かそうとするのではなく、動いてくれる人を大切にする」という方針転換が、少しずつ組織の空気を変えていきました。
3. 「自分らしい経営スタイル」を見つける
父の経営スタイルと自分の強みを客観的に比較・整理するワークを行いました。
父の強み:現場の職人気質、顔の広さ、体力 相談者の強み:数字の分析力、顧客対応の丁寧さ、ITリテラシー
「父と同じやり方で勝とうとしなくていい」という気づきが、自分なりの経営への第一歩になりました。
結果
- 6ヶ月のカウンセリングを経て、うつ症状は大幅に改善
- 新規顧客向けのホームページ刷新と問い合わせフォーム設置を主導、新規受注が増加
- 古参社員との摩擦は残るものの「すべてを解決しなくていい」という感覚が持てるように
- 「自分なりの社長像が、少しずつ見えてきた」とのご報告
この事例から学べること
二代目・後継者のうつ病の背景には、**「先代との比較」「古参社員との軋轢」「自己肯定感の低下」**が複雑に絡み合っていることが多くあります。
これらは経営の問題でもあり、心の問題でもあります。どちらか一方だけを解決しようとしても、根本的な改善には至りにくいのです。
「自分には向いていないのかもしれない」と感じている後継者の方こそ、一度ご相談ください。