相談者のプロフィール
- 業種・規模: IT業(従業員20名)
- 年齢: 50代前半
- 相談のきっかけ: 「社員が増えたのに、自分がどんどん忙しくなっている。なぜか仕事が減らない」
相談時の状況
創業から15年、売上は順調に伸び、従業員も20名まで増えていました。しかし経営者の業務量は増える一方。朝7時から夜11時まで働いても仕事が終わらず、「自分がボトルネックになっている」という自覚はあるものの、何も変えられていませんでした。
「社員に任せると品質が下がる」「自分がやったほうが早い」という感覚が、委譲の妨げになっていました。休日も業務の連絡が来るため、ゆっくり休めた記憶がないとのことでした。
支援の内容
1. 「なぜ任せられないか」を言語化する
「任せると品質が下がる」という不安の背景には、「社員への不信感」より「失敗したとき自分が責任を取れない恐怖」があることが見えてきました。
「任せることへの恐怖」を丁寧に掘り下げることで、「品質への不安」と「自分のコントロール欲求」が混在していたことに気づき始めました。
2. 「任せる範囲」を段階的に設計する
いきなり大きな権限を渡すのではなく、「まずこの業務だけ任せてみる」という小さなステップを設計しました。
- 週次レポートの作成 → 担当者に委譲
- クライアントとのメール対応 → 担当者主体に移行
- 社内の備品管理・庶務 → 総務担当に移行
「任せた結果どうなったか」を毎週確認することで、「案外うまくいく」という体験を積み重ねました。
3. 「マネジメントへの役割転換」を一緒に考える
経営者が「プレイヤー」から「マネジメント」へシフトするために、新たな役割を具体的に定義しました。
「自分がやること」ではなく「自分が判断すること」「自分が考えること」にエネルギーを使う経営スタイルへの転換を意識的に設計しました。
結果
- 3ヶ月で経営者の残業時間が週20時間削減
- 「社員が思ったよりずっとできると気づいた」とのご報告
- 新規事業の構想に時間を割けるようになり、6ヶ月後に新サービスをリリース
この事例から学べること
「自分がやらなければ」という感覚は、多くの経営者に共通する思考の癖のひとつです。権限委譲は「仕事を手放すこと」ではなく、「経営者本来の仕事に集中するための投資」です。
任せることで、経営者にしかできない仕事が見えてきます。